オオカミ社長の求愛から逃げられません!
「気の合いそうな人がいれば奥の部屋で何をしてもいいの。複数でもいいし、カップでもいい。もちろん見学もOK」
クスクスと笑いながら、ワインを飲んでいる。こんなことの何が楽しいの? ここにいる人達が考えることが全く理解できない。
前に晴くんが、ここには来るなと言っていた意味が今わかった。きっと知っていたんだろう。こういうパーティーが開催されていることを。
「ドラッグもお酒も自由に飲める。ね? 楽しいと思わない?」
饒舌に話す西園寺さんが私の顔を無理やり正面に向けさせる。抵抗するけど、睡眠薬がまだ残っているのか、力が入らない。すると、参加者たちが公衆の面前でキスをしたり抱き合ったりし始めた。
「私もこの前参加したんだけど、楽しかったなー。朝まで悶えまくっちゃった」
それを聞いて、あっ、と思った。この前エレベーターで会った時、セクシーなドレスを着ていたことがあった。もしかすると、このパーティーに参加した後だったのかも。
「興奮してきたでしょ?」
「しません。これの何が楽しいのか、わかりません」
「あんたって本当にムカつくわね。この私が、最初にここに誘ったときも乗ってこなかったし、仕事が楽しいとか言うし、私が持っている宝石に目もくれないし。庶民ならもっと羨ましがりなさいよ。私がすごいっていいなさいよ!」
その言葉に、彼女は可哀そうな人だと思った。きっと人に羨ましがられることでしか、自分の価値を見出せないんだ。