オオカミ社長の求愛から逃げられません!


「お見合いの話はもうケリがついてる」
「じゃあ、どうして」
「あの後すぐ、彼女のところには謝罪に行った。その時どうやらカフスボタンを落としてきたみたいで、わざわざ届けてくれたんだ」
「そうだったんですね」

ホッと力が抜ける。お見合いをやり直すんじゃなかったんだ。

「安心した?」
「はい……って、あ、」
「そう。よかった」

今度は意地悪に微笑んで、私の頭をそっと撫でる。それだけでキュンとしてしまう。

なんだか自分が晴くんにどんどん惹かれているのがわかる。恋心とは、こんなにも単純だったんだって、思い知らされる。

こんな風に愛情を示されて大事にされて。恋に臆病になっていたあの頃の私が、サヨナラと手を振っている気がする。

彼となら、一歩踏み出せそう。


< 62 / 121 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop