オオカミ社長の求愛から逃げられません!
「あの、そんなことしなくても足があるので歩いていきましょう」
「そう? 里香はやっぱり謙虚だなー。もっとわがまま言っていいのに」
その発言に、ん? と思った。それは誰かと比べてるのかな? やっぱり今まで付き合ってきた人はお嬢様ばかりだったのかな。
そういえば令嬢やお嬢様はお腹一杯だって言っていたような。そこでハッとした。そうだ、西園寺さん……!
「じゃあ行こうか」
そう言って家のキーを持った晴くんに、あの、と思い切って切り出した。
「ん? どうしたの?」
「今日の昼、その……西園寺さんが来てましたよね」
声が上ずる。聞くのが怖いけど、でもうやむやのままにはしておけない。
「あぁ、来てたね」
「その、もしかしてお見合いをやり直すとか……?」
恐る恐る視線を上げながら言えば、ニヤッとする晴くんと目があった。
え! どうして笑ってるの?
「そんなこと言われたら、めちゃくちゃ期待しちゃうんだけど」
「期待って……?」
「西園寺さんのこと、気にしてたってことだよね? 俺うぬぼれてもいい?」
そう言われ、引いたばかりの熱が再び顔に集まる。これじゃあまるでヤキモチ妬いていたみたいだ。いや、現にそうだったわけで。自覚して、さらに困惑してしまう。
そんな私をじっと上から見ている。晴くん、もしかしておろおろする私を見て楽しんでる? 絶対楽しんでるよね。