ふたりぐらし -マトリカリア 305号室-

ガラ、と再びドアが開く音がした。

ふたりしてカーテンから顔をだす。

入ってきたのは、息を弾ませた美月だった。

わたしたちを見つけると、ぴょこ、と跳ねて顔を明るくさせた。


「あー、よかったあ! もー! 連れてかれてるときぐったりしてたから、やばいかと思って競技どころじゃなかったよ」

「来てくれたんだ」

「もちろん。お昼もここで食べるかと思って、荷物持ってきた」

「わ、ありがとう」


荷物を受け取って、ベッドの隅に置く。

美月はそういえば、と手を叩いて、隣にいる康晴を見た。
< 112 / 405 >

この作品をシェア

pagetop