ふたりぐらし -マトリカリア 305号室-
ガラ、と再びドアが開く音がした。
ふたりしてカーテンから顔をだす。
入ってきたのは、息を弾ませた美月だった。
わたしたちを見つけると、ぴょこ、と跳ねて顔を明るくさせた。
「あー、よかったあ! もー! 連れてかれてるときぐったりしてたから、やばいかと思って競技どころじゃなかったよ」
「来てくれたんだ」
「もちろん。お昼もここで食べるかと思って、荷物持ってきた」
「わ、ありがとう」
荷物を受け取って、ベッドの隅に置く。
美月はそういえば、と手を叩いて、隣にいる康晴を見た。