ふたりぐらし -マトリカリア 305号室-


***


ピンポン、というチャイムの音が聞こえた気がして、わたしは目を覚ました。


わたし、寝ちゃってた……?


うーん、と目をこすりながらゆっくり体を起こして、時間を確認する。

おーちゃんが出かけてから、30分ほどしか経っていなかった。

なんだ……と体から力が抜けて、再び目を閉じそうになると、またピンポン、と鳴った。


——あれ。


チャイムの音が鳴ったのは確かだけれど、少しの違和感。


なんだか、音が遠い気がする……。


寝ぼけた思考でそこまで考えて、わたしはああ、と納得した。


——隣の家のチャイムだ。

そうか、隣……。

ん……? 隣?


今度こそ、わたしはしっかりと飛び起きた。


この部屋の隣は304号室——わたしの家……!

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