ふたりぐらし -マトリカリア 305号室-
さきほどまで大人びて見えていたのが嘘みたいに、その様子は、年相応の女の子に見える。
心の中でなにかが点火して揺れたような、くすぐったい心地に襲われた。
俺は逃げていった愛花の手を捕まえて、テーブルの上に引き戻した。
そのままきゅっと握りしめる。
「怖いなら、いいよ。このままで」
下を向いたままの愛花が、ほんのりと頬を赤らめた。
「……ありがとう」
「どういたしまして」