転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
そうしてアイスティーを運んだトレーを脇に置くと、先ほどから言いたい放題の美女を見上げる。
「一応お教えしますが、私はちゃんと法律上の春人さんの妻です。そしてなぜいきなりあなたにそんなことを言われなければならないのか、まったくわからないのですが」
「春人は私のモノなの。ヒトのモノを盗るのは泥棒だって、小さい頃習わなかった?」
あっさりと放たれたセリフに、一瞬呼吸が止まった。
レイラはそんな結乃に構いもせず続ける。
「1年半……くらいかしら。彼と私は、大学生の頃に付き合ってたの。だけど、私が卒業と同時にアメリカの叔父の会社を手伝うことにしたから、別れることになったのよ」
「………」
「本当は春人もアメリカに連れて行きたかったのに、春人ったら断るんだもの。まあ、仁と作った会社が上手くいっていたから、寂しいけど仕方ないって納得はしたわ。だけど今回、日本法人の代表を任されることになってまたこっちに帰って来れた。これはもう、運命だって思ったわ」
そう言ってニッコリ笑ったレイラを前に、結乃はひざの上で組んだ両手を固く握りしめる。
「向こうでもいろんな男性と知り合うことはあったけど、春人以上と思えるパートナーはいなかった。お互い同じレベルで会話ができるのは心地良いし、ルックスだってすごく好み。彼にとっても、きっと私はそうよ。身体の相性だって良かったもの」
──“身体の相性”。
恋人だったのなら、そういう触れ合いがあったのは当然のことだ。
当然のことだと、頭ではわかっているのに……気持ちが追いつかない結乃の心は、嫉妬と悲しみでバラバラになってしまいそうだった。
「一応お教えしますが、私はちゃんと法律上の春人さんの妻です。そしてなぜいきなりあなたにそんなことを言われなければならないのか、まったくわからないのですが」
「春人は私のモノなの。ヒトのモノを盗るのは泥棒だって、小さい頃習わなかった?」
あっさりと放たれたセリフに、一瞬呼吸が止まった。
レイラはそんな結乃に構いもせず続ける。
「1年半……くらいかしら。彼と私は、大学生の頃に付き合ってたの。だけど、私が卒業と同時にアメリカの叔父の会社を手伝うことにしたから、別れることになったのよ」
「………」
「本当は春人もアメリカに連れて行きたかったのに、春人ったら断るんだもの。まあ、仁と作った会社が上手くいっていたから、寂しいけど仕方ないって納得はしたわ。だけど今回、日本法人の代表を任されることになってまたこっちに帰って来れた。これはもう、運命だって思ったわ」
そう言ってニッコリ笑ったレイラを前に、結乃はひざの上で組んだ両手を固く握りしめる。
「向こうでもいろんな男性と知り合うことはあったけど、春人以上と思えるパートナーはいなかった。お互い同じレベルで会話ができるのは心地良いし、ルックスだってすごく好み。彼にとっても、きっと私はそうよ。身体の相性だって良かったもの」
──“身体の相性”。
恋人だったのなら、そういう触れ合いがあったのは当然のことだ。
当然のことだと、頭ではわかっているのに……気持ちが追いつかない結乃の心は、嫉妬と悲しみでバラバラになってしまいそうだった。