転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
あのとき春人が長々と述べていた話はどう考えても仕事のプレゼンのそれだったし、まさか見た目も中身も平凡な自分がハイスペックなこの男性に見初められるなんてこともありえない。直接問いただすことはしないまま、結乃はそう、決めつけていた。
そして彼の言葉の裏にある“提案”に気づいた彼女は、突然のことに動揺しつつ──それでもこれが、自分にとっても悪い話でないことに思い至ってもいたのだ。
アラサーに差し掛かった結乃も周囲からのプレッシャーをいっそう感じるようになり、だけどどうしても、今ひとつ積極的に相手を探そうという気にはなれていなかった。
そこへ現れた、前世の幼なじみ。どうやら彼は記憶にある当時とあまり中身も変わっていないようだから、性格を熟知している自分は上手く付き合っていけるだろう。
別にもともと理想が高いわけでもなかったけれど、最低限の収入は人間らしい生活をするうえで必要不可欠だ。その点も、むしろおそれおおいくらいで問題はない。
そして見た目に関しては、言わずもがな。確固たる事実として春人が突出したイケメンであることは明白なので、いたって平凡な自分が彼を前にしてアレコレ好みのタイプやらを語ることがそもそもおこがましいといえる。
考えれば考えるほど、春人からの提案は結乃にとっても悪くない……どころか、とても魅力的に思えてきて。
とはいえ最終的に結乃の背中を押した決め手は、結局のところ『この人がハルトだから』。前世の自分にとって、彼が大切な人だったからに他ならない。
そうして結乃は悩みつつも、あの場で彼の手を取ることを決めたのだ。
(私は、お飾りの奥さんだけど……それでもこの人のために、自分にできることは精一杯がんばりたい)
愛されて妻に望まれたわけではない自分は、正直まだ、どこまで彼に踏み込んでいいものかわからない。
けれど少なくとも、春人は春人なりに結乃を大事にしてくれている。手を繋いで歩くことを、許している。
今だって、思いきって用意したバレンタインのプレゼントを、春人は予想以上によろこんでくれた。
うれしくて、自然と頬が緩んでしまう。
そして彼の言葉の裏にある“提案”に気づいた彼女は、突然のことに動揺しつつ──それでもこれが、自分にとっても悪い話でないことに思い至ってもいたのだ。
アラサーに差し掛かった結乃も周囲からのプレッシャーをいっそう感じるようになり、だけどどうしても、今ひとつ積極的に相手を探そうという気にはなれていなかった。
そこへ現れた、前世の幼なじみ。どうやら彼は記憶にある当時とあまり中身も変わっていないようだから、性格を熟知している自分は上手く付き合っていけるだろう。
別にもともと理想が高いわけでもなかったけれど、最低限の収入は人間らしい生活をするうえで必要不可欠だ。その点も、むしろおそれおおいくらいで問題はない。
そして見た目に関しては、言わずもがな。確固たる事実として春人が突出したイケメンであることは明白なので、いたって平凡な自分が彼を前にしてアレコレ好みのタイプやらを語ることがそもそもおこがましいといえる。
考えれば考えるほど、春人からの提案は結乃にとっても悪くない……どころか、とても魅力的に思えてきて。
とはいえ最終的に結乃の背中を押した決め手は、結局のところ『この人がハルトだから』。前世の自分にとって、彼が大切な人だったからに他ならない。
そうして結乃は悩みつつも、あの場で彼の手を取ることを決めたのだ。
(私は、お飾りの奥さんだけど……それでもこの人のために、自分にできることは精一杯がんばりたい)
愛されて妻に望まれたわけではない自分は、正直まだ、どこまで彼に踏み込んでいいものかわからない。
けれど少なくとも、春人は春人なりに結乃を大事にしてくれている。手を繋いで歩くことを、許している。
今だって、思いきって用意したバレンタインのプレゼントを、春人は予想以上によろこんでくれた。
うれしくて、自然と頬が緩んでしまう。