転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
仁はポツリと「そうか」とつぶやくと、スマホを春人へと返した。
「いいコそうだな。会うのが楽しみだ」
どこか茶化すような笑みを浮かべる仁の様子に、先ほどの違和感は気のせいかと思い直す。
差し出されたスマホを受け取って、春人は無表情に答えた。
「俺の気が向くのが、いつになるかわからないが」
「おまえはまたそういうことを……まあ、俺に紹介するより先に、彼女を口説き落として初夜を迎える方が先だもんな~?」
「それは……冗談抜きで切実な問題なんだが……」
とたんに顔が虚無になる春人に、声を上げて笑う。
仁はふざけた性格をしているが、本当に侵してはいけないボーダーラインはわかっている男だ。
そんな彼に初夜事情含めすべてを知られることになったのは、一部不本意とはいえ結果的にはよかったのかもしれない。
ふう、とひとつため息をつき、テーブルの上の紙コップを手に取る。
「おそらく、俺ががっつきすぎて怯えさせてしまったんだろう。この件は完全にこちらが悪い。だから彼女の許しが出るまでは、お行儀良くいつまでも待つつもりだ」
改めて決意を口にしたら、なんとかがんばれそうな気がしてきた。
あんなに近い距離にいるのに触れることができないのは、正直ものすごくつらい。
入籍した日の夜無遠慮に触れた自分の手で乱れていた彼女の姿を思い出すたび、春人の身体は簡単に熱を持つのだ。
だけど、ここは何がなんでも彼女の気持ちを尊重しなければならない場面だと、自分でもわかっている。
結乃は、来年のバレンタインデーのことを話してくれた。それは少なくとも今は、これからもずっと自分のそばにいてくれるつもりということ。
この先も続く夫婦生活に、ここでの自分の振る舞いがきっと影響してくる。そう思えば、今このときの自分の我慢なんてちっぽけなものだ。
「いいコそうだな。会うのが楽しみだ」
どこか茶化すような笑みを浮かべる仁の様子に、先ほどの違和感は気のせいかと思い直す。
差し出されたスマホを受け取って、春人は無表情に答えた。
「俺の気が向くのが、いつになるかわからないが」
「おまえはまたそういうことを……まあ、俺に紹介するより先に、彼女を口説き落として初夜を迎える方が先だもんな~?」
「それは……冗談抜きで切実な問題なんだが……」
とたんに顔が虚無になる春人に、声を上げて笑う。
仁はふざけた性格をしているが、本当に侵してはいけないボーダーラインはわかっている男だ。
そんな彼に初夜事情含めすべてを知られることになったのは、一部不本意とはいえ結果的にはよかったのかもしれない。
ふう、とひとつため息をつき、テーブルの上の紙コップを手に取る。
「おそらく、俺ががっつきすぎて怯えさせてしまったんだろう。この件は完全にこちらが悪い。だから彼女の許しが出るまでは、お行儀良くいつまでも待つつもりだ」
改めて決意を口にしたら、なんとかがんばれそうな気がしてきた。
あんなに近い距離にいるのに触れることができないのは、正直ものすごくつらい。
入籍した日の夜無遠慮に触れた自分の手で乱れていた彼女の姿を思い出すたび、春人の身体は簡単に熱を持つのだ。
だけど、ここは何がなんでも彼女の気持ちを尊重しなければならない場面だと、自分でもわかっている。
結乃は、来年のバレンタインデーのことを話してくれた。それは少なくとも今は、これからもずっと自分のそばにいてくれるつもりということ。
この先も続く夫婦生活に、ここでの自分の振る舞いがきっと影響してくる。そう思えば、今このときの自分の我慢なんてちっぽけなものだ。