転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
さっきまでよりもどこか上向きな気持ちで冷めたコーヒーを口に運ぶと、ニヤニヤといやらしい表情を浮かべた仁と目が合う。
「……なんだ」
「いやー、ベッドの件はお気の毒さまだけど、幸せそうじゃねぇの。一目惚れっつっても、もうそれだけじゃないんだろ? 奥方のどこにそこまで惚れ込んだんだ?」
完全に興味本位だとわかる問いかけに、春人は嫌そうな顔をするもあっさり答える。
「あまり言葉がなくても不思議とこちらの考えを汲み取ってくれて、一緒にいて居心地がいい。料理も上手いし、俺好みの味付けだ。それに香水なんかは何もつけていないのに甘い匂いがするのもたまらないし、正直何から何までかわいい」
「ベタ惚れかよ……」
照れる素振りもなくいっそ清々しいほど堂々とノロケられ、仁はそれ以上からかう気も起きなかった。
そうか、本当に好きな相手には、この男はこんな感じなのか。
仁は過去に春人が交際していた女性のことを知っているが、その彼女にはここまで露骨な好意や独占欲は見せていなかった。
元恋人の立場からすると失礼極まりない話だが、これが黒須春人という男なのだから仕方ない。
苦笑して、仁はテーブルに置いていた紙コップを持つと目の前の友人に向かって突き出す。
「とにかくまあ、無事入籍おめでとう。重すぎて愛想尽かされないように、気をつけろよ?」
「……努力する」
不本意そうな仏頂面ながら、それでも春人は律儀にコーヒーの入ったカップをコツン、と合わせてくる。
そんな彼に、また仁は笑ったのだった。
「……なんだ」
「いやー、ベッドの件はお気の毒さまだけど、幸せそうじゃねぇの。一目惚れっつっても、もうそれだけじゃないんだろ? 奥方のどこにそこまで惚れ込んだんだ?」
完全に興味本位だとわかる問いかけに、春人は嫌そうな顔をするもあっさり答える。
「あまり言葉がなくても不思議とこちらの考えを汲み取ってくれて、一緒にいて居心地がいい。料理も上手いし、俺好みの味付けだ。それに香水なんかは何もつけていないのに甘い匂いがするのもたまらないし、正直何から何までかわいい」
「ベタ惚れかよ……」
照れる素振りもなくいっそ清々しいほど堂々とノロケられ、仁はそれ以上からかう気も起きなかった。
そうか、本当に好きな相手には、この男はこんな感じなのか。
仁は過去に春人が交際していた女性のことを知っているが、その彼女にはここまで露骨な好意や独占欲は見せていなかった。
元恋人の立場からすると失礼極まりない話だが、これが黒須春人という男なのだから仕方ない。
苦笑して、仁はテーブルに置いていた紙コップを持つと目の前の友人に向かって突き出す。
「とにかくまあ、無事入籍おめでとう。重すぎて愛想尽かされないように、気をつけろよ?」
「……努力する」
不本意そうな仏頂面ながら、それでも春人は律儀にコーヒーの入ったカップをコツン、と合わせてくる。
そんな彼に、また仁は笑ったのだった。