【短編】コイイロ世界

あ………っ、


惜しむように離れていく唇の下で、ピクリと動きをかんじた。


―――――――っ、


離した下唇を噛み締め、小さく声がもれる。



ゴメン…

ゴメン……






「…き、きょ…恭…」




君の見開いたような瞳から、


一筋の涙が流れ落ちた。




「ゴメン…未月……」








ゴメン……





それはお伽話の白雪姫を目覚めさせるような

幸せのキスではなかった…――



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