【短編】コイイロ世界
「未月は、分かってるんだろ?」
私の声を遮り、淡々と言う恭。
「…な、なにを――」
「変わらないなんて、できないこと。」
変わらない……なんて………、
できない――
「いつまでも同じ場所で居座り続けることなんてできないんだ。
時が経つにつれ、俺らは変わっていかなきゃいけない。
言葉や行動、夢、価値観、気持ち……そんな日常の中で見ればほんの些細な変化でも、俺達は変わっていくんだ。」
やめて……
「そうしなければ、
俺らは前に進めない…――」
やめてよ……っ、
「いまの未月は……
変わろうとする事実から目を離してるだけじゃないのか…?。」
…―――っ!!
私は、恭の顔を見ることもなく
走りだした。
――聞きたくない…――っ!!