【短編】コイイロ世界
凛ちゃんの手が、私を抱きしめる。
「見失わないで、
今ここで、未月が自分の心から目を逸らしたら未月絶対に後悔する。
だから、
忘れないで、
見ることを諦めないで、
進むことを……怖がらないで。」
「……………」
「見方を変えてみて。
恭は、恭だよ?
一人の男で、未月の大切な幼なじみ。
いつだって未月を宝物みたいに大切にしてた。
それは未月が1番分かってるでしょ…?」
「………っ、」
わかってるよ……。
恭は、いつだって優しかった。
だから甘えてた。
縋ってた。