お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
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数十分ほど走らせた車で到着したのは、グレーの外観がシックな低層マンションだった。
高級車がずらっと並ぶ地下駐車場からエレベーターで三階まで上がり、案内された部屋を見て果歩は言葉を失くす。
もはや何畳あるのかわからないほど広いリビングはブラウンを基調としたラグジュアリーな家具でまとめられ、ダウンライトやフットライトで照度を下げた大人っぽく落ち着いた雰囲気だ。
どのインテリアもデザイナーらしくセンスの良さがうかがえる。おそらくすべてナナセファニチャーのものだろう。
弧を描くように配置された大きな窓は四面連なり、その向こうにライトアップされたバルコニーがある。ウッドチェアも置かれ、あたたかい季節にはそこでお茶をしたら素敵な時間を過ごせそうだ。
「わ、すごい……」
リビングの一角に椅子ばかりを集めたスペースがあり、吸い寄せられるように近づく。コーナーというよりは雑多に集めたような、ただ置いてあるような感じといったらいいのか。
座り心地のよさそうなイージーチェアやロッキングチェア、ホテルにありそうなラウンジチェアなどいろいろだ。どれも洗練されたデザインで、なにに視点を置いたらいいのか迷ってしまう。