お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
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数十分後、ダイニングテーブルに並んだのは大きなピザ、イタリアンサラミと生ハム、チーズの盛り合わせだった。
「これ、ピザにかける?」
「もちろんです」
晴臣が手にしていたのはタバスコの瓶。ピザにはそれをかけなければはじまらない。
晴臣は「だよね」とニコニコしながら、ピザに振りかけていく。いかにも辛そうな匂いだけで食欲が刺激されてお腹が鳴りそうだ。
手を合わせて「いただきます」と言ってから、揃ってピザを口に運ぶ。薄い生地がサクッと音を立て、鼻からタバスコのスパイシーな香りが抜けていく。
「おいしいです!」
「気に入ってもらえてよかった。たまにこうしてデリバリーを頼んでるんだ」
「そうなんですね」
それは誰かと一緒なのか聞こうと思ったが口をつぐむ。今は女性の影を感じたくない。
代わりにべつの話題に切り替える。
「晴臣さんは椅子のデザインが専門なんですか?」