お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~

「そっか」


どことなく残念そうに聞こえて、つい釈明したくなる。


「でも私も、ひとりより晴臣さんと食べたときの方がおいしかったです」


車の中、ふたりで『辛いね』と笑いながら食べたのは本当に楽しかった。
そうであってほしいと願う果歩の想いが見せる幻影か、晴臣がうれしそうに笑った気がした。


「勢いでここまで連れ去ったけど、ご飯まだだよね?」
「あっ、そうですね。晴臣さんも?」


彼が頷く。ドタバタ騒ぎですっかり忘れていた。


「俺が作ろう!と言いたいところだけど、材料になりそうなものは冷蔵庫にないんだよね」


これからスーパーで買い物をしてから料理となると、時間的にかなり厳しいだろう。
かといって、帰ったばかりで外にUターンという気分でもない。


「デリバリーにする?」
「いいですね」


果歩はふたつ返事だった。


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