お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~

彼がどういうつもりなのかわからないため、果歩の頭は混乱の真っ只中。

(恋人のふりをするのはおばあちゃんの前だけでいいのに……)

文代はふたりの仲を取り持った人間。最も嘘をついてはいけないのではないか。


「じゃ、俺はこれで」
「今度、主人も含めた四人でお食事でもしましょうね」


にこやかに送り出す文代のうしろを回って、ドアを開けて出ていく晴臣を追いかける。外に一歩出たところで呼び止めた。


「すみませんでした。こんなところまで持ってきてもらっちゃって」
「俺が渡し損ねていたんだから気にしないで。それより、ちゃんと帰ってこいよ?」


頭をポンとされ、顔を覗き込まれる。
果歩は目を逸らしながらも「はい」と答えるしかできなかった。
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