Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 わたしは意を決して、口を開いた。
「あの……いまさら、こんなこと言っていいのかわからないんですけど」

「うん?」
 芹澤さんは顔を少し傾けて、わたしのほうを見た。

 磨きあげられた黒曜石のように輝く瞳に見つめられると、催眠術にかかったようにぼーっとしてしまう。

 こら、負けちゃだめ!
 ありったけの理性を総動員して彼の魅力に立ち向かった。

「やっぱり、今回のお話、なかったことにしていただけませんか」

 ふー、言えた……

 芹澤さんはかすかに眉を寄せた。
「それは、どうして?」

「あの……正直に言うと、怖くて仕方がないんです。芹澤さんがわたしのために、あれほどご準備していただいたことを知って……」

 彼は何も言わず、ただじっとわたしの顔を見つめ、次の言葉を待っていた。

「それに見合うだけのことが出来るとは、どうしても思えなくて」

 芹澤さんはテーブルにグラスを置くと、わたしのほうに顔を向けた。

「つまり失敗して、ぼくを失望させることが怖いってこと?」

「はい、そうです……だから早いうちに、どなたか別の方を探していただいたほうがいいのではないかと思って」

 きらりと目を輝かせて、芹澤さんはわたしを見つめた。
 そして、また、思いもよらないことを口にした。
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