転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)
「王太子が気に入っていそうなレミリア嬢。あの娘をたらしこんで、王城の宝物庫から絵画を出させようと思ったのに、芸術サロンとはなんて都合がいい」

彼が園遊会でレミリアに近づいたのは、それ以外に目的はない。

デートにでも誘おうかと思っていた矢先に、芸術サロンの招待状があちこちに送られたという噂を聞いて、レミリアを巻き込んでのまどろっこしい作戦をやめたのだ。

「俺には招待状が届かなかったが、そんなものは必要ない。明後日が楽しみだな……」

黒ずくめの飛翔体は、誰に追われることもなく、悠々と海の方へ飛び去った。

* * *

星々が輝きを競い合い、半月が紺碧の空にぽっかりと浮かんでいる。

「レミリア様、空をご覧ください。星が瞬いてすごく綺麗ですよ。夜空を飛べたらどんなに素敵でしょう。そう思いませんか?」

「エマは昨日から夜空の話ばかりね。天文学に興味があるのなら、私の持っている星の本をあげるわよ」

「そうじゃないんですけど……」

エマとレミリアは馬車で王城にやってきた。

芸術サロンは夜会であり、開催は十九半時からと遅い。

大邸宅の五階まで上がると、中ホールに案内された。

< 133 / 251 >

この作品をシェア

pagetop