転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)
火球をぶつければ、盗まれた価値ある名画まで燃えてしまうから、威嚇程度の攻撃しかできないのだ。

それをわかっているため怪盗ローズは少しも慌てず、クッと笑うだけで避けもしなかった。

「取り返したきゃ、ついてきなよ」

挑発するようなことを言ったら、さらに上を目指して速度を上げる。

空気は次第に薄くなり、地上の三分の一ほどだ。

息苦しさに肩を上下させても、眼下に向ける眼差しは楽しげである。

五頭の翼竜は、拳大に見える距離で停滞していた。

人間より多くの酸素を消費するため、この高さまでは追ってこれないのだ。

騎士の顔は見えないが、きっと悔しげに歯噛みしているはずで、怪盗ローズは声をあげて笑う。

「悪いけど、まだ捕まるわけにいかないんだよ。あと一枚。あの絵を手に入れたら全てが揃うはずだ。はたして父の遺した宝とはなんなのか。俺が先に見つけて、能無し兄どもを見返してやる」

竜騎士たちを置き去りにして飛ぶ彼の頭には、ふとレミリアの顔が浮かんだ。

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