転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)
エマが知っている他の貴族の中にも、ブルロズに登場する名前がいくつかある。

そしてなにより、このシチュエーション。

プレイヤーが操作するヒロインが、買い物先でチンピラに絡まれ、王太子と竜騎士に助けられるというのがピタリと一致していた。

(もしかして私は、ブルロズの世界に転生しちゃったの!? なんで、どうして……あっ)

原因として考えられるのは、心残りの強さであろうか。

研修期間はレポートの提出量も半端なく、なかなかゲームに時間を割けなかった。

やり込みたいのにやれないというもどかしさを抱えて二カ月ほどを過ごし、ゲームの序盤までしかプレイできずに亡くなってしまったのだ。

ひとり静かにパニックに落とされる中でも、エマの胸には残念な思いが広がる。

(名前のついた侍女はブルロズに出てこない。ということは、私はモブキャラ。どうせならヒロインに生まれたかった……。でも、前世は地味で今も似たようなもの。性格的にキラキラな人生は似合わない気もする……)

自問自答の結果、モブ侍女の方がしっくりくると納得はしたが、ハタと疑問にぶち当たる。

< 18 / 251 >

この作品をシェア

pagetop