転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)
きっと沿道にも大勢の民が押し寄せて、祝福の歓声が沸くことだろう。

他の参列者と一緒に馬車を見送ったエマは、青バラのブーケを手に、そっと人垣から外れた。

大聖堂の敷地は広く、芝生の美しい庭やバラの花咲く散策路がある。

挙式の余韻にしっとりと浸りたくて、無人の散策路を進んでいると、どこからか電話の着信音が聞こえてきた。

(えっ、まさか……?)

眩しい空を仰げばスモフキンが短い手足を一生懸命に動かして飛んでいて、フワフワとエマに向けて降りてきた。

顔の前で止まったスモフキンは、眼光鋭く、威厳を感じさせるおじさん声で喋りだす。

「お主の前世の妹から電話だ」

「スモフキンさん……魔力が戻ったんですか?」

「なにを言っておる。我輩は優秀な魔法犬だ。魔力切れなど起こしたことはないぞ」

どうやら、ただの綿犬に戻ってしまっていた時の記憶はないらしい。

「早く出ろ」と叱られ、エマは慌ててスモフキンの腹毛を掻き分け、スマホを耳に当てた。

「もしもし」

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