平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
リズがよく聞こえなくて首を傾げた時、ジェドがまとっている空気を普段に戻して言った。
「幼獣の件、ニコラスに近づく機会がある者たちに、パーティー会場でそれとなく探りを入れてみたが、よくは分からなかったな」
あの社交の中で、いちおう下調べは進めていたらしい。
「全然気づきませんでした。いつ聞き出していたんですか?」
リズは感心して、純粋に尊敬の眼差しを向けて尋ねる。
「会話の際中に、それとなく質問を交えたり、それに近い話を振れば相手から聞き知っている情報くらいは引き出せる」
……そんな黒い算段が、あの眩いくらい親切・優しいと思わせる笑顔の下で、進められていたとは全く思いもしなかった。
リズは、改めて鬼上司の腹の黒さを見た気がした。
「明日、陛下からも話を聞く予定だ。他の者たちにも事情を聞いて調査を進めていく手筈だが――面倒なのは、社交の予定が既に埋まり出していることだな」
今回、軍事関係の公務の参加提案もあって来訪している。そのため明日、国王と幼獣の件で話す目処は立っていた。
だが、調査は水面下で進められる。
グレイソン伯爵は、白獣の件で社交も一部免除されている。普段から忙しくしていることで知られていて、招待状を送っても不参加がほとんど。
そんな彼が、久々にプライベートで王都へ来たとあれば、軍関係のみならず、どの貴族も放っておかないだろう。
「団長様、元々はプライベートが理由の滞在だったはずなのに、どんどん忙しくなりそうですね……」
「幼獣の件、ニコラスに近づく機会がある者たちに、パーティー会場でそれとなく探りを入れてみたが、よくは分からなかったな」
あの社交の中で、いちおう下調べは進めていたらしい。
「全然気づきませんでした。いつ聞き出していたんですか?」
リズは感心して、純粋に尊敬の眼差しを向けて尋ねる。
「会話の際中に、それとなく質問を交えたり、それに近い話を振れば相手から聞き知っている情報くらいは引き出せる」
……そんな黒い算段が、あの眩いくらい親切・優しいと思わせる笑顔の下で、進められていたとは全く思いもしなかった。
リズは、改めて鬼上司の腹の黒さを見た気がした。
「明日、陛下からも話を聞く予定だ。他の者たちにも事情を聞いて調査を進めていく手筈だが――面倒なのは、社交の予定が既に埋まり出していることだな」
今回、軍事関係の公務の参加提案もあって来訪している。そのため明日、国王と幼獣の件で話す目処は立っていた。
だが、調査は水面下で進められる。
グレイソン伯爵は、白獣の件で社交も一部免除されている。普段から忙しくしていることで知られていて、招待状を送っても不参加がほとんど。
そんな彼が、久々にプライベートで王都へ来たとあれば、軍関係のみならず、どの貴族も放っておかないだろう。
「団長様、元々はプライベートが理由の滞在だったはずなのに、どんどん忙しくなりそうですね……」