平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
おそるおそる、コーマックに確認する。

「このウェルキンス王国の、王位継承第一位、十五歳のニコラス・フィン・ウェルキンス第一王子殿下です」

ひぇ、とリズは呼吸ごと声が詰まった。

ウェルキンス王国には、現在、両陛下の間に第一王子のニコラスしかいない。何事もなければ、ゆくゆく彼が次代の国王になるとは聞いていた。

どうやらジェドは、幼い頃の彼を知っているらしい。陛下に挨拶に伺った折り、一方的に家臣達の前で親友認定されたのだとか。

「それからというもの、ずっと付き合いがありますね」

「つまり、幼馴染、みたいなものでしょうか……?」

「そういうことになります」

説明するコーマックは、吐息交じりだ。

今回の媚薬菓子は、そろそろ配偶者を決めて所帯を持った方がいいぞと、全然ちっとも吉報の一つさえないことを心配して送ってきたものだとか。

「彼は、団長がモテないせいで縁談話の一つもない、と思っているところもありますからね」

語り終えたコーマックは、困ったような皺が寄った眉間をぐりぐりとして、「ふぅ」と溜息をもらす。

「だ、団長様がモテない? どうやったらそんな誤解ができるんですか」

「そこは僕らも謎なのですが。まぁ、殿下自体、きらっきらなくらいの美少年ですからね。美的感覚が鈍いのかもしれません」

しかし、どうやら媚薬の贈り物はついでだったらしい。殿下からの手紙には、何やら気になる内容も綴られていたようだ。
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