平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
コーマックは、そこで話を切り上げて立ち上がった。リズに一旦話の終了を合図すると、文字が綴られて便箋を持ってジェドのもとへ向かう。

「すみませんでした、団長。菓子よりも先に、手紙に書かれてある〝本題〟の方を僕が提示すべきでした」

書斎机の前に立ったコーマックと、掲げられた数枚の便箋に、ジェドが訝って視線を往復させる。

「どういうことだ?」

「どうやら、殿下が預かっている幼獣の件が本題のようです」

コーマックは、便箋を書斎机の上へ置いた。その相談内容が該当する部分を、ジェドに示して確認をお願いする。

見守っていた獣騎士達は、なるほどと納得した顔だ。しかしリズは、かなり意外なことを聞いてしまったと言わんばかりに目を丸くした。

「殿下のところに、幼獣がいるんですか?」

戦闘獣である白獣は、獣騎士以外には懐かない。だから、その特殊性もあって獣騎士の数は少ないのだ。

思わず上がったリズの声を聞いて、ジェドを除く男たちの視線が集まる。

「ああ、そういえば教えていませんでしたね。殿下もまた、リズさんと同じく白獣が大丈夫だった人なんですよ」

振り返ったコーマックが、優しげな口調でそう教えた。

「公務を兼ねた初めてのご訪問で、転倒した殿下を団員の相棒獣が助け起こしたことで発覚しまして。お付きの方々を別館で待機させている間に、色々と見学をさせたりと、基本的に滞在されている間は自由にさせていました」
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