平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
リズは、寝ぼけた声を上げ、ぼんやりと考える。

ジェドの手は、リズの柔らかな桃色の髪を、向こうへと撫で梳いている形で止まっていた。唇へと伸ばされた彼の親指が、不自然な位置で停止中だ。

――そういえばここ、団長様のご両親の屋敷だった。

自分は一人で眠っていたわけでなかった。目の前に異性がいるのをはっきりと認識した瞬間、リズはパニックになって枕を引っ掴んでいた。

「ぴぎゃああああぁぁ!?」

目の前にあったジェドの顔に、ばふんっと思いきり枕を押し当てた。



◆§◆§◆



目覚め一番、思いっきりやらかしてしまった。

本日は、王都の滞在一日目だ。お座りしたカルロは、呆れ返った表情を浮かべている。その視線の先では、身支度を進めるリズとジェドの姿があった。

「ったく、ちょっと近かっただけだろう。それなのに、いきなり上司の顔に枕をぶつけるとは、過剰反応だぞ」

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