平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
「そうだったんですね……。今年もご来訪があったのですか?」

「はい。春の気配が出始めた頃ですかね。ちょうど幼獣舎が賑やかになりだしていましたので、まずはそちらを見学をさせました」

そうしたところ、一頭が彼に興味を持って懐いたのだという。ずっとそばを離れなくて、滞在中は一緒にいさせていたのだとか。

だから、一旦連れて帰らせたのかしら?

そう思ってリズが問いかけてみようとした時、ジェドが手紙の相談内容を確認し終えてこう言った。

「ニコラスの手紙によると、どうやら最近身の回りが少々気になるらしい。いつも幼獣を抱えて移動しているんだが視線を感じる、と」

ジェドは、慣れ親しんだように第一王子の名前を口にした。

視線に気づいたのは、ここ最近のことのようだ。幼獣を抱えて王宮で過ごしている中で、気にしてみると違和感を覚えることも増え出した。

預かっている幼獣は、まだ牙も尖っていない子だ。もし何者かに狙われていたりしたら……と、手紙には十五歳の王子からの不安が綴られていた。

「単刀直入にいうと、直に話したいので『王都に来い』と希望しているらしい」

詳細は会った時に。

そう締められた手紙を、ジェドが書斎机の上にぱさりと置いた。小さく鼻息をもらした彼を窺っていたコーマックが、確認する。

「王宮に行くんですか?」

「生憎、そんな暇はない。気になるという程度で、毎回呼び出されることにでもなったら、たまらん」
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