平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
ジェドが、待っているコーマックと獣騎士に、ニコラスからの用件に関しては一蹴する姿勢を示した。

実は、親友認定されてから「遊びに来い」やら「パーティーに参加しないか」やらと、個人的な誘いも多く出しているお方であるらしい。

「まぁ、味を占められたら厄介ですよね」

見守っていた獣騎士の一人が、確かにと頷いて言う。

「最近はご公務にも入られていますし、殿下に与えられている公的な権限を使われると、断るのも少々難しくなる」

「以前の厄介なところらの縁談話も、殿下が持ってきたせいですもんね」

「えっ、そうだったんですか!?」

「リズちゃん、あの殿下は怖いもの知らずっていうか、ちょっとおバカなところがあるトラブルメーカーでもあるんだ。城に来ていた国の末姫に『なら、グレイソン伯爵なんてどうだ?』なぁんて、あっさり話を振ってくれちゃって」

そのせいで、自国に残っていた姫たちと、話を聞いた令嬢たちも乗り気になった。そして、その国にグレイソン伯爵の名が一気に知れ渡った。

その時の手紙の量は、この倍だったと彼らは語る。

国内の令嬢たちが、負けじと文でアピールしてきたせいもあった。親たちも自分の娘を推してきて、社交の誘いもピークだったそうだ。

「すごく大変なことになったんですね……」

獣騎士団の仕事どころではなくなったのではと、リズは当時、コーマックと恋人同士だからという噂が強められた経緯を思う。

「まさか姫相手とは、僕も話を聞いた時は驚きました」
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