平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
当時を思い出したのか、苦々しい表情で黙り込んだジェドの前から、コーマックが吐息交じりに口を挟んだ。

「俺も、話を聞いた時はたまげました。モテるのもほどほどにしないと、困るんだなって、初めて団長が頭を抱えているのを見て思った」

「あれ? 俺、今にも殴り殺しに行きそうな顔しか見てねぇけど?」

「あれ以降、殿下へのあしらいに遠慮がなくなったよな。さすが我らが鬼上司」

「俺が仕えているのは陛下であって、王子じゃない。グレイソン伯爵への絶対の命令権は、陛下だけが持っている」

鬼上司話題が発展しそうになったのを察知して、ジェドが強めに言った。ピリっとした気配を覚えたリズたちは、条件反射のように口をつぐむ。

「俺陛下からも、ニコラスの件に関しては『友人として導いて欲しい』と許しは頂いている。ただ一人の王子だ。常に護衛もいる。本当に何かあるのだとしたら、陛下の方から俺に直接相談がくるだろう」

この話は終わりだと言わんばかりに、そうてきぱきと告げられた。続いてジェドは、コーマックの隣に立っている部下を見る。

「何か間違いでも起こったら大変だ。その媚薬入りの菓子は、しっかり焼却処分しておけ。強い薬剤は白獣にも毒だ」

「了解です。きちんと燃え尽きるまで見届けます」

命令を受けた獣騎士が、敬礼をして部屋を出て行く。

リズは、コーマック達と共に彼の退出を見送った。媚薬と聞いてから強張っていた肩から、ようやく力が抜けて内心ほっとする。

別館にいた年上の女性職員たちも、恋愛話や旦那との話はよくしていた。でも、キスやら夜を過ごすやらというキーワードを聞くだけで、リズは恥ずかしくなってしまうのだ。
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