平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
視線を合わせられないでいると、より甘い声で囁かれた。しかも顔をばっちり覗き込まれて、目の前で指先にキスされてしまったのだ。

これ、もう一種の嫌がらせなのじゃないかしら。

笑ったジェドの青い目に見据えられ、リズは動けなくなる。赤面した顔の熱は引いてくれないし、みんな見てるし、とにかく猛烈に恥ずかしい!

「だ、だだだ団長様、あの、その」

どもりすぎて言葉を噛みまくってしまった。

「リズ、ずっと俺のことを見ていてくれるね?」

え、何その怖い命令。

意味深に言われて、リズは咄嗟にまさかの鬼上司の恋人役指示かと推測する。正直言うと、甘ったるい顔をした彼を直視し続けるなんて心臓がもたない。

「えっと、それは、ちょ――」

「このまま両腕の中に閉じ込めてしまうよ? 俺の愛しい人」

にこっ、とジェドに美しく微笑みかけられ、リズはひえぇと震え上がった。気のせいか、彼の背後に黒いドSオーラが見える。

なんだか機嫌が悪いようだ。そう察知して慌てて一呼吸で即答する。

「はい団長様だけ見てます!」

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