平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
「そのまさかです」

コーマックが吐息交じりに答える。

そばから獣騎士たちも、うんうんと肯定して頷いた。エドモンドに教えるようにこう続ける。

「団長、当初からリズちゃんを気に入っている感じだったんですけど、実のところ、一目惚れだったみたいで」

「エドモンドさんは知っていると思いますけど、自覚してすぐに、あの団長が素直に告白できるはずもなく」

「俺らが、苦労に苦労を重ねているわけですよ」

別館側からやってくる職員たちは、リズにとって少し前の同僚たちだ。

面倒を見てもらっていた先輩や元上司とあって、仲がいい。しかしそれにもジェドは、いちいちジェラシーを燃やしてピリピリするのである。

「なるほど。白獣に認められた領主の、未来の婚約者候補とあって、彼の相棒獣が教育係に選んで一番そばに置いた、とも考えられるわけですね」

「さすがエドモンドさん、理解が早いようで助かります。僕らも、そのように推測していました」

とはいえ、と答えながらコーマックは思ったりもする。その心境を、部下の一人が代弁した。

「まぁ、リズちゃんの場合は、その前にトナーの相棒獣が、紙の上で採用を提案したっていう、ちょっと特殊な事情があるんだけどな」

「そうそう。全部の戦闘獣が、はじめっからリズちゃんを受け入れている感じだった」

「それは珍しいですね。実際に本人を前にしなければ、彼らが感じる〝相性〟とやらも分からないものなのでは」

エドモンドは、少し不思議そうにして尋ね返す。
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