平凡な私の獣騎士団もふもふライフ２

「みんな、お利口さんね。待たせしてしまってごめんなさい」

一時的に端へ寄せていたブラッシング道具が入ったかごを移動する。途端に足元が賑やかになって、リズは微笑ましい気持ちになった。

獣騎士団で活躍している戦闘獣のイメージもなく、なんとも愛らしいもふもふな生き物である。

その時、後ろで柔らかなチップを踏む音がした。

そちらを目にした一瞬間後、幼獣たちのテンションが、カルロの登場ほどではないが上がった。その一部が、きゃっきゃ楽しげに駆け寄って行く。

足にふわふわアタックをされたエドモンドが、「おや」と目を向ける。

「相変わらずのおチビさんたちですね。君たち、元気にしていましたか」

「彼らは離乳がまだですからね。体の成長段階も、これからです」

「そういえばこのサイズだったなと、少々懐かしく思い出しました」

言いながら、エドモンドが一頭を両手で抱え上げる。

本当に大丈夫であるらしい。幼獣たちは彼を知っていると言わんばかりに、もふもふと飛び跳ねて、一部の子たちはそれをリズにアピールしてもいた。

「実は、午前中のブラッシングがこれからなんですよ。体を綺麗にしてすぐ、急な来訪のご連絡を受けて場所をあとにしましたから」

リズは、幼獣たちに受け入れられている様子のエドモンドに、安心してそう声をかけた。

するとエドモンドが、なるほどと深く頷くと幼獣を下ろした。

「それは申し訳ないタイミングでした。ならば責任をもってお手伝いましょう。殿下のもとにいる幼獣の世話も、離乳まで付きっきりでみていた身です」