平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
そんなコーマックの言葉に、リズは、自分が世話係になったばかりの頃を思い出した。思えば、彼だけもふもふアタックをされていない現状だ。

つまりエドモンドさんも、私のように同レベルに思われている……?

「それじゃあ、三人でブッシングにあたりましょうか」

コーマックが、獣騎士の特徴的なロングジャケットの軍服の袖をまくる。声をかけられたリズは、少し遅れてそれに気づいた。

「あっ、はい、そうですね。なんかすません、副団長様」

「いえいえ、いいんですよ。待たせていたこの子たちにも申し訳ないですし」

「エドモンドさんの分のブラシ道具は、予備の方で大丈夫でしょうか? メインで使っている物の方が大きさもありますけれど」

「それはリズさんが使ってください。僕らは、予備の小さい方で問題ありませんから」

新たに加わったエドモンドについて、そうリズとコーマックが話し出す。すると幼獣たちが、またしてもリズを取られたと言いたげにしゅんとした。

エドモンドが、それを横目に見やった。

「なるほど。やきもちですか。これもまた、悪いことをしましたね」

顎を撫でながら、口の中でこっそり思案をこぼす。

その時、リズとコーマックが話しを終えたタイミングで、幼獣たちの奥から一つの愛らしい声が上がった。

「みゅんっ」

一頭の幼獣が、仲間たちを落ち着けるように一声鳴いて前に躍り出てきた。ぴょーんっと華麗にジャンプすると、したっと短い四肢で着地を決める。

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