平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
パパな気分……なんだか可愛らしい言い方だ。ふと、あの丸字の女の子みたいなきょぴきゃぴな文面がリズの脳裏を過ぎった。

でも、今度は強烈な印象ではなく、良き印象の方で。

なんだか彼に対して、リズは一気に親近感を覚えた。そっかー、私がママなら、獣騎士の人たちは、いつもパパみたいな気持ちで世話をしているのね。

微笑ましい想像に、にこにこした。足元にやってきた一頭を抱き上げると、そのもふもふとした温かさを覚えながらエドモンドに見せてやる。

「みんなの中から飛び出してきたこの子、実は先週、誘拐された子なんです。もう一頭の子も、そうで。あの一件から二頭とも、すっかりお兄ちゃんぽくなったんです」

先程の光景を思い出しながら、リズは打ち解けた表情で教える。

この幼獣は、最近とくにやんちゃさが目立ってきた。先程のもう一頭とタッグを組んで、他の幼獣たちを引っ張っていくようになっている感じがある。

ふうん、とエドモンドがゆっくり首を傾げる。

「よく見分けがつきますね」

たくさんの幼獣を指されて、リズはきょとんとして小首を傾げ返す。

「毎日見ているんですから、当然分かりますよ。みんな、顔も違っているでしょう?」

「……顔、ですか」

エドモンドは真剣に考えたのち、珍しく困って沈黙する。

彼女なら、幼獣を全頭見分けてニックネームまで付けてしまうのも可能だろう。そう思ったコーマックは、それとなく話を変える方向で声をかける。

「えっと、それではブラッシングをしましょうか」
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