平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
ジェドは、エドモンドが来てから、ずっと苛々しているようだった。仕事が重なって多忙のせいもあるのだろう。

そう思って一旦納得するリズの後ろで、別々の方向から目撃していたコーマックや獣騎士たちが、揃って「違います」「違う」という顔をしていた。それをエドモンドが冷静に眺めていたりした。

やんちゃ度が上がったとあって、幼獣たちの世話は少し忙しくなっていた。だがエドモンドは、本当に世話仕事も上手でリズは助かった。

――ただ、幼獣たちは、リズの時と違って彼に遠慮がなかった。

かなり好き勝手に、もふもふアタックをしたりした。結構鍛えられているのか、力を入れていると倒れもしない背中に飛び込み、移動させようと試みてふわふわな頭でぐりぐり押したりもする。

世話をするのが、リズじゃない不満もあったらしい。

一緒に膝をつけて座り込む隣で、エドモンドがタオルで顔を拭う。するとその顔に足を踏ん張って「みょうぅぅ」とぐいぐい引き離すように抵抗した。

「やんちゃですね」

そんな幼獣たちに対して、一言、彼はそんな感想だった。

全く動じていない様子が、リズはかえって感心した。エドモンドは本気で拒絶をしていない幼獣を相手に、てきぱきと丁寧に世話を焼いた。

カルロに関しては、初日の顔合わせから数時間後、彼と対面となった。

優雅な長い毛並みを揺らしながらやってきた彼は、白獣の特徴である美しい紫色(バイオレット)の目で見下ろすなり『面倒くせーことになってんな』みたいな顔をした。

お客様の前なのに、もう少し隠せないのかしら……。

普段から彼と筆談をしているリズは、しばし固まってしまっていた。しかしエドモンドも、それを察知したようだ。
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