ハッピーエンダー
片道切符







水樹さんと最後に会ってから、一ヶ月が経った。ラブホテルでの一件。あれを最後に、私たちは連絡を取っていない。あの日は何時間もキスをして、眠りに落ち、目覚めたら夜だった。

あのとき、目覚めた水樹さんは「俺と一緒に死のうか」と言った。私は微かに兄の顔が浮かんだがすぐに消え、「はい」と返事をした。私は本気だった。むしろ、やっとふたりの答えを見つけた気がして、うれしかった。彼と死ねると思うと、なぜ今までその結末を思いつかなかったのか不思議なほど満たされる。

彼が私に死のうと誘ってくれた後、また連絡をすると言ったまま、連絡が来ない。もしや裏切って先に死んでしまったのではと不安になったが、おそらくそれはないだろう。彼は私をひとりにはしないと思う。
< 153 / 161 >

この作品をシェア

pagetop