溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情

万が一、この生活が終わってしまった時のこともある。

そうならないように私も努力すべきなのだけど、吉池さんも分かっているから無理強いはせず、「残念」とだけ言い、タブレットの電源を落とし、立ち上がった。


「さて。寝ようか」


手を差し出され、その手を取る。

スキンシップを増やしていくと言っていた吉池さんの言葉が脳裏を過ぎった。

一緒に寝室へ入るだけでものすごくドキドキするなんて、触れられたら私の心臓は正常でいられるのだろうか。


「電気消すぞ」


布団に入り、小さく頷くと部屋は暗くなった。

一緒に寝るのは初めてじゃないのに、初めての時より緊張している。

吉池さんの重みでギシッとベッドのスプリングが鳴る音にさえ反応してしまい、余計に鼓動が速まり、心臓の音が聞こえてしまうのではないかと思うくらい、ドキドキしてきた。

それなのに室内に響いたのは吉池さんのいつも通りの静かな声。


「おやすみ」


え?

あれ?

特になにもなし?


「おやすみ、なさい」


何を期待していたわけではないけど、なんだか拍子抜けしてしまい、その日は眠るのに時間が掛かった。

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