溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情
釈然としない気持ちのままお風呂から上がり、リビングに戻ると吉池さんはソファーに座り、タブレットを手にしていた。
「お仕事ですか?」
声を掛けると吉池さんが振り向いた。
「あぁ。急ぎで確認しておきたいことがあって」
「飲み物、入れますね」
空いているグラスにミネラルウォーターを注ぐ。
それからキッチンに戻り、ミネラルウォーターを立ったまま飲んでいると、吉池さんがまた振り返り、それから手招きした。
「座って」
なんだろう、と思いながら言われた通り隣に座るとタブレットの画面が差し出された。
「ここ」
指差されたところを見ると英文が書いてある。
「訳してくれないか?」
「あ、はい!」
吉池さんの役に立てる。
そのことが純粋に嬉しくてすぐに翻訳し、伝えた。
でも、話しながら留学経験のある吉池さんが分からないほどの難しい文章ではないと気付き、様子を伺うために隣を見る。
すると吉池さんもこちらを見ていて、口元には笑みが浮かんでいた。
「専門用語でも対応出来るんだな」
試されたのだ。
役に立てると思っていた分、凹む。
「悪い。だが、今ので決めた。俺の会社で通訳の仕事をしてくれないか?」
「それは嬉しいですけど、すみません。公私混同してしまいそうだから出来ません」