溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情
小さな声が聞き取れなくて聞き返すと永井さんは首を横に振ってから湊さんに言った。


「社長が笑うの、初めて見ました。恋人の前では全然違うのですね」

「当たり前だろ」


湊さんの言葉に永井さんはまた笑った。


「おふたりなら大丈夫ですよ。仲睦まじい姿を見て陰口を叩くのは嫉妬する方だけ。でも、あーあ!」


永井さんは少し大きめの声を上げると、少し上を向いた。

それは涙をこぼさないようにしているように見えて、胸がキュウっと締め付けられた。

でもここで謝りでもしたらそれこそ失礼だから何も言わずにいると、アフタヌーンティーが運ばれてきた。


「お待たせいたしました」

「わあ。豪華!美味しそう!」


永井さんは大袈裟なくらい弾けた声を上げ、それから目元を拭い、私を上目遣いに見て言った。


「これは信楽さんにご馳走になっても?」

「あ、はいっ!もちろんです!」


そう笑顔で答えれば永井さんもニコリと微笑んでくれた。

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