溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情
うーん。

これはなにを言っても引いてくれそうにない。

私自身の時差ボケは別にしても『一刻も早く帰国したいから寝食を惜しみ』と永井さんから聞いてゆっくり寝てもらいたいと思ったのに。


「永井」


湊さんはその場で私たちのやり取りを見ていた永井さんに声を掛けた。


「少しだけふたりにさせて貰っていいか?このままだと仕事に影響を及ぼしかねない」

「かしこまりました。では15分後にエントランスでお待ちしています」


永井さんはそう言うと席を立った。

それと同時に湊さんも席を立ち、右手で私の荷物を取り、左手で私の腕を掴んで引き上げ、一緒に立たせた。


「え?」


状況が理解出来ずにいると、湊さんはそのまま私の手を引いて歩いて行く。


「あ!待ってください」


ラウンジでの支払いを済ませるつもりでお財布を取り出す。


「俺が払う」

「いえ。約束したので」


しっかりと言えば湊さんもそれ以上は言わずに黙って見ていてくれた。

でも、支払いを終えたと同時にまた私の手を取り、足早にエレベーターに乗り込み、最上階を押した。

どこに向かっているのか、聞く必要もない。


「絵麻」

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