溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情

背後から声が聞こえた気がして振り返って理由を聞こうと思った。

でも顔の横に吉池さんの腕が伸びたのを見て、距離の近さに振り返ることは出来ず、そのままの姿勢で続きを待つ。


「香りだ。きみからはとても甘い香りがする」

「それは……あ、ありがとうございます」


吉池さんの手からお皿を受け取りながら気になったことを伝える。


「あの、私、香水は付けていないんですけど、シャンプーの香りがキツい、とか不快なら変えますので遠慮なくおっしゃってください」

「そうは思わなかったが」


吉池さんはそこで言葉を区切り、私を見下ろしてしばらく考えた後、言った。


「確かめさせてもらおう」


そう言うなり私の手からお皿を取り上げ、それをワークトップの上に置くと、フワリと私の体を抱き寄せた。


「っ?!」


突然の抱擁に対し、動揺する私を他所に、吉池さんは私の頭部に顔を寄せた。


「ダメ、ですか?」
 

体が離れたタイミングで恐る恐る聞いてみた。


「ダメ…………じゃないな。とてもいい香りだ」

「え?あ、もうっ!」


答えをもったいぶるようなことをした吉池さんに怒りを露わにすると、吉池さんが声を出して笑った。

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