溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情


「安くても気に入らなければ必要だとしても買う意味がありません。かといって高価で気に入れば買うのかというとそうではないんです。私はどんなに気に入った物でも、一度きりならあるものを使えばいい、って買わない選択をする人間です。その感覚、吉池さんには……」

「『わからない』そう答えたら?『結婚は出来ない』そう言いたいのか?」


吉池さんは私の言葉を繋ぎ、私の心の中を覗き込むかのように真っ直ぐ見つめてきた。

言葉に詰まる。

でも結局は吉池さんの言う通りなのだ。

唇を噛み、小さく頷くと吉池さんは大きなため息を吐いた。


「ごめんなさい。でも私、金銭感覚のズレは見過ごせなくて」

「それなら曲げわっぱの弁当箱。あれはなぜ買った?」

「え?」


突然の話の流れに頭がついていかず顔をしかめると吉池さんは丁寧に言い換えてくれた。


「あの弁当箱はそれなりの値段のものだよな?俺たちが別れることになったら不必要になるものなのに、きみはわざわざ、しかも高価な弁当箱を買った。それはなぜだ?きみの理論で言えばこの場合、買わない、が正解だろう?タッパーだっていいんだから」

「たしかにそうなんですけど…あのお弁当箱は気に入ったのと、吉池さんに似合うと思ったから」


言いながら矛盾していることに気付き、声は小さく、俯き加減になる。

それでも、としっかり顔を上げ、最後まで伝える。
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