溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情
「吉池さんにタッパーは不釣り合いなんです。高価で品のあるものこそ相応しい。結婚相手もそう。きっと、このような高価な着物を堂々と身に着けられる方が吉池さんの隣に立つのに相応しいんです」
「きみは違うのか?」
聞かれて悔しいけど頷くしかなかった。
「今の私には分不相応です」
たとえ着飾り偽ることは出来たとしても背伸びはいつまでも続けられることじゃなく、いつか吉池さんの隣にいることに疲れて、吉池さんと一緒にいることが嫌になる。
それは嫌だ。
吉池さんのことを嫌いになんてなりたくないから。
「俺は」
吉池さんの声に俯いていた顔を上げる。
「俺は、きみが俺に相応しいと思った弁当箱を買ったように、俺はその品のある着物こそ、きみに似合うと思ったから購入を決意した」
「吉池さんは私を買いかぶりすぎなんです。額も違い過ぎるし、それに私はとても悩みました」
親に相談するほど悩んで買った。
即決した吉池さんとは違う。
にもかかわらず吉池さんは同じだと言う。
「俺はドレスコードが着物だと聞いた時点からきみに着物をプレゼントしようと決めていた。あわよくばその着物を結納、挨拶回り、お宮参り、入学式…は先過ぎるが、事あるごとに着てくれたら、と想像しながら水島に事前に用意しておいてもらえるよう頼んでいたんだ」
そんな先のことまで考えていてくれたなんて。
私は袖を通すのは『一度きり』だと思って、それを口にさえした。
でも吉池さんは私との未来を見据えた上での買い物を検討してくれていた。
しかも『お宮参り』や『入学式』だなんて、この前問題になった子供のこともちゃんと視野に入れてくれていて、水島さんにも事前に頼んでおいてくれて。