溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情
「なんだ、その顔は」
吉池さんが怪訝そうな顔をして言った。
「だって、お前が決定事項を取り消すなんて初めてだろ?独裁的なワンマン社長なのに」
「なんだそれ」
吉池さんが呆れたように笑った。
でも水島さんは真面目に答える。
「お前、そう言われてるの知らないのか?有名な話だぞ?『吉池社長はそれなりの規模の会社を立ち上げているにも関わらず、今だに誰にも心を開かず、大事なことも相談しないで全部ひとりで決めちゃうワンマン社長』って。まぁ、判断は間違っていないから組織としては立派に成長しているんだけどさ」
「あぁ。そういえば『少しくらい社員の声に耳を傾けてもいいんじゃないですか?』と秘書に言われたことがあるな。だが、なぜそんなことお前が知っている?」
吉池さんが聞くと水島さんはもう一度、「有名な話だから」と口にした後、言いにくそうに吉池さんの会社の人と食事をした時に聞いたと言った。
「うちの社員と食事、ね?」
吉池さんの含みある言い方に水島さんが慌て出した。
「禁止されているわけじゃないだろ…って、そうだ。その時初めてお前の秘書見たんだけど、すごい美人なのな。驚いたわ。しかも頭も切れる。お前相手に臆することなく意見出来るのはあの人くらいなのかも?あ、あとは絵麻ちゃんか。吉池に決定事項を変えさせるなんて大したものだよ」
「すみません。私のわがままでご迷惑をお掛けして。本当に申し訳ありません」
頭を下げてきちんと謝罪する。