溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情
「学生の頃も今も、俺はほとんど笑わない。和気あいあいとか苦手なんだ。水島がワンマンだって言っていた通り、俺は今も昔もなにかを決めなきゃいけない時、全部自分で決めてしまう。一応、意見を求めることもしたが、結局ロクな答えは返ってこないし、無駄に時間だけが費やされる。たまに良さそうな意見が出ても具体案までは出ない」
「誰かに相談するよりも、自分ひとりでやった方がいい。そう考えるようになったんですね?」
言葉を紡ぐと吉池さんは頷いた。
「その点、ハルはすごい。あいつはクラス中の意見を全て聞き入れ、気持ちが一致するまでとことん話し合うタイプだった。『敵わない』と思ったのはあいつが最初で最後かな。ハルが同業で起業されたら脅威だ」
「兄は吉池さんのことを『すごいんだ』っていつも自慢話みたいに話していますよ」
「へぇ」
吉池さんは私の言葉に引っかかる部分があったようで、こちらに視線を向けると詰め寄ってきた。
「ハルが俺のことをきみに話していた?」
「あ、はい。よく話しています」
本当のことなのでそう言うと、吉池さんは「へぇ」とまた含みのある言い方をしてからさらに距離を縮めながら続けた。
「きみは俺のことをハルから聞いていた。それもよく。それなのに俺のことを忘れていたのか。まったく悲しい話だな」
「いえ、それは、そういうわけではなく」