勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
助手席に座り、ハンドルをにぎる九条さんに頭をさげた。




「どうした、彩梅?」




「お父さんが失礼な態度ばかりとって、本当にごめんなさい」




挨拶もしないなんて、さすがに情けない。




「彩梅のことが可愛くて仕方ないんだろ」




「九条さんの方が、うちのお父さんよりずっと大人ですね……」




「……あんまりそういうこと言うなよ」




目をそらした九条さんをじっと見つめる。




「照れるから……ですか?」




「そうだよ!」




照れてる九条さんも、すごくかっこいいのに。




くすくす笑っていると、



あっという間に九条さんのマンションに到着した。




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