勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「綺麗……」




広いリビングルームの窓のそとには、



青い空がどこまでも広がっている。




「気に入った?」




「はい!」




でも、1週間、ふたりきりで生活するなんて、



ドキドキしちゃって本当は景色どころではなかったりする。




「えっと、荷物はこっちの部屋でいいですか?」




九条さんが普段使っていない部屋に、荷物を置くと。




「あ、それ、子供部屋」




「え?」




「いつか子供ができたときのための子供部屋。



もし彩梅が庭つきの家が欲しいなら、



またそのときに考えればいいし。



彩梅と俺の部屋はこっちだよ」




そう言って、九条さんが自分の部屋を指さした。




「い、一緒に寝るんですか?」




「そりゃそうだろ?」




そ、そっか、花嫁修業っていうことは……



そ、そういうことなんだ!




今更ながら、かーっと顔が熱くなる。




で、でも……




部屋の真ん中に立ち尽くして硬直してると、



くしゃりと頭がなでられた。




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