時には風になって、花になって。
陰陽師にでもなった気分だ。
こちらも妖怪を連れているというのに。
「…ほう、なんだ随分と可愛い娘を連れているじゃないか」
野太い声が迎えた先。
酒の入った大きな俵を傍らに置き、周りに2人の召し使いが並んでいる。
そんな真ん中に座る、目の据わった1人の男。
「な、オレの言った通り人間だろ?」
紅覇の背中に隠れながら縁は呟いた。
「なにも見た目だけが全てではない」と答えた紅覇。
バッ───!!
「なに…っ!?」
右手をその男へと向ける。
すると村の長は悲鳴を上げ出した。
そこで苦しむのは長ではなく、その男の中に取り憑く妖気。
「ヤ”メ”ロ”ォ”ォ”ォ”ォ”ォ”ーーー!!」
それは周りの物、人からも聞こえる。
それは村全体にも響く悲鳴となった。
(村全体が取り憑かれてるって、こういうことだったんだ…)
そうして邪悪な妖気は全てのものから飛び出し、それを紅覇は炎で燃やし尽くす。