メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
「キャンプ・・・?」

卒業式を控えた3月。閉店後店長に『14日空いてる?』と聞かれた。特に予定はなかったのでそう答えるとキャンプに誘われた。

「そう。今の時期まだ寒いけど、春の訪れをたくさん感じることが出来て希望が湧いてくる感じがするから、一番好きなんだよね。道具とか全部俺が用意するから手ぶらで来てくれて大丈夫だよ。」

「でも私・・・。」

「竹中くんと彼の彼女も一緒で俺の車に乗っていくし、他の店舗の人達ともキャンプ場で合流するんだ。アルバイトの子も何人か来るよ。杏花ちゃんと同年代だし仲良くなれるんじゃないかな。ブッシュクラフトもやる予定だよ。」

「ブッシュクラフトって落ちてる木とかでお箸とかスプーンとか作るやつですよね?」

「そうそう。面白そうでしょ?思い出になるし。」

「確かに面白そう・・・。」

「じゃ、決まりね!詳細はまた連絡するよ。」

店長はなかば強引に話をまとめると弾んだ様子でバックヤードに入って行ってしまった。
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