メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
でも痩せて更に小さくなってしまったのではないか。袴が重そうだ。彩木さんの話からしてそれはきっと俺のせいだ。胸がズキズキと痛む。

彼女達は10分ほどそこで写真を撮ったり話したりして、手を振って杏花以外は駅の方向に向かった。それを見届け、彼女の方に向かおうと足を踏み出しかけて立ち止まる。近くのオープンカフェから彩木さんと葉吉社長が出てきた。二人とも洒落たキャリーケースを引いている。彼女を待っていたのは俺だけではなかったのだ。

でも、ちょうどいいと思った。彼女の両親にも俺の想いを伝えたい。

「暖人!?」

近づいていくと杏花が俺に気づいて驚いた顔をした。化粧は玲美のモデルで黒いミニドレスを着た時の、ラメを使ったり立体感を出したものとは全く違うものだった。いつもより切れ長の目。はんなりした雰囲気の化粧が彼女にとても似合っている。

彩木さんは嬉しそうに微笑んでゆっくりと会釈をしてくれたが、葉吉社長はなんだか複雑な表情をしている。俺のことを彩木さんから聞いているのだろう。
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